ともえやの持ち送り

聞きなれない言葉ですが、庇のように張り出した部分を支えるために壁や柱に取り付ける部材のことを「持ち送り」というそうです。巴家をオープンすることになり、何十年ぶりかに軒の埃を払っていて、入り口の二つの持ち送りだけ立派な彫刻が施されているのに気がつきました。この彫り物は鯉に見えます。となると裏側は…

…龍かと思いましたが、亀の甲羅らしきものもあります。ということは、こちらは中国の故事に出てくる想像上の獣、龍亀(ロングイ)かと思われます。龍亀は 建物の入り口の左右に置くと商売繁盛をもたらすそうです。当家の冠婚葬祭に使う正門は北側にあり、ここは酒屋としての入り口でしたので、かつて酒屋を開業した時に、商売繁盛を祈って吉兆を示す龍亀を彫ってもらったのでしょう。業種は変わりますが、巴家も百数十年前の創業当時と気持ちは同じです。